読書案内/The Rise and Fall of the Blades のバックアップソース(No.1)

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CENTER:ブレイズの盛衰



CENTER:著者不明
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 今日でもブレイズのことを覚えている者は多い。ところが、彼らの起源や滅亡の話を後世に伝えられる者はそう多くはない。しかし私の父はできる。彼が私に「ブレイズのように秘密を守るんだぞ」と言う瞬間は、どんな時よりも誇らしそうだった。

 ブレイズは秘密を守ることに長けていた。彼らは何かを書くという行為をほとんどしなかったのだ。情報はそれぞれの地域にいる諜報員同士の間で細心の注意を払いながら交わされ、それが皇帝を守る選りすぐられたメンバーへと届けられていたのである。メンバー内ですら隠しごとは多かったという。

 彼らの多くは、儀式に用いるアカヴィリの鎧と湾曲した長剣を身につけていた。ブレイズの起源を辿るとアカヴィル最強の戦士達、ドラゴンガードへと行きつく。そんな彼らはタムリエルにいる時同様、そこで自分達の君主や王国を守っていた。しかし、最近の発見によって、それだけではないということがわかった。

 東のドラゴンの地として知られるアカヴィルへの冒険について書かれた古い文献は多数存在する。多くのタムリエル人がその場所を制圧しようと試みた。その内最も有名なのは、“イオニスの惨事”という名で帝国公式文書にまとめられている第三紀288年に皇帝ユリエル5世と第10軍団によるものである。長いことアカヴィルではドラゴンの存在は伝説となっており、タムリエルの歴史の中で短い期間だけ姿を現したドラゴン達はアカヴィリのドラゴンガードによって狩られ、全滅に追いやられそうになったところを逃げ出したものだと多くの人は信じている。そして1世紀後半、ドラゴンガードはタムリエルへと逃げた彼らの後を追いかけるのだった。

 北から攻め込む際、ドラゴンガードはドラゴンだけでなく、ハチミツ酒が入ったピッチャーを片手にした侵略を歓迎しないスカイリムの人々にも出くわした。ドラゴンガードはスカイリムを突っ切ろうとしたが、ペイル峠での戦いの最中にいたレマン・シロディールの手によって止められ、侵略に終止符が打たれた。レマンは人間の国であるシロディールをまとめ上げ、アカヴィリの侵略者達を倒した人物である。

 レマンはアカトシュとアレッシアによって選定された伝説のドラゴンボーンの中で初めて文書に記録され、広く認知されるようになった人物の1人でもある。信望者達は、彼を“ドラゴンの魂を持って生まれてきた者”と言う。ペイル峠の戦いがどういった物だったかというのは記録によって大きく内容が異なる。しかし結果は全て同じで、レマン・シロディールの声を聞いたドラゴンガードの残党は、跪き、彼らの征服者であり救世主であるレマンに命を懸けると誓った。第一紀後半の文書の一部では、戦士達が膝をついて「我々は狩りをしていたのではない」(もしくは「するつもりはなかった」、著者による大雑把な翻訳だが)と言い、さらに「あなたを探していたんだ」と続けたと言及されている。

 タムリエル第二紀、レマン王朝が始まると彼らは命を賭してレマンと彼の子孫を守った。この時代に、彼らの力の及ぶ範囲が広がると同時に支配力も強まり、ブレイズという名になったのだ。彼らのドラゴン征服は終わり、ドラゴンボーンを守ること、そしてそれを通して帝国を守ることだけに専念した。

 最盛期を迎えたのは第三紀のセプティム皇帝達による統治下のこと。人数が多かったにも関わらず、彼らは秘密主義を貫いていた。最も目立ち、文書化されたのは変わらずにアカヴィリの鎧を着用して皇帝を直接警護している者達だった。しかし、彼らはブレイズのほんの一部でしかない。なぜなら、ブレイズはタムリエルの隅々にまで支配力を伸ばしている大きな組織になったのだ。構成員達にはありとあらゆる種族がいた。商人、盗賊、職人、魔術師、戦士がおり、誰もが諜報員として潜入し、必要に応じて帝国の守るためにひそかに活動していた。大抵の場合は1人で行動するが、大陸中に点在する秘密の砦で会うこともあったと言う者もいる。その中で最も有名なのが、ドラゴンボーンを守るために命を落とした者達の剣が飾っていたシロディールの曇王の神殿である。他にもハンマーフェルに広がる広大なアリクル砂漠の中に建つウィンド・スカウラー聖堂、スカイリムの山中にあるスカイ・ヘヴン聖堂、ウェイレストにあるストーム・タロン聖堂だと伝える者もいる。

 他の人間に正体を悟られないよう長い時間人間に混じって過ごす者は“グランドマスター”と呼ばれた。彼らのコミュニケーション、待ち合わせ、そして任務は本当に選ばれた数人しか知らない。そして全てを知っているのは、グランドマスター自身と記録者と呼ばれるグループの任務が誰にも知られずに遂行されていることを確認する者の2人だけである。

 皇帝ユリエル・セプティム7世とその息子のマーティンが亡くなると、第三紀は終わり、ブレイズはドラゴンボーンが戻ってくるのを待ちながらシロディールの曇王の神殿の奥に籠もって防備を固め、再び要請があった時のために備えた。

 第四紀の帝国で公に国を守るブレイズや皇帝達の姿を目にすることはなくなった。その役目は現在、純粋な帝国組織であるペニトゥス・オクラトゥスが果たしている。しかし、ブレイズはドラゴンボーンを待つこと、そして未来の敵から守るという秘密の仕事を続けていた。そのため、いつまでもアルドメリ自治領の境界内でサルモールが孤立したままではいないという兆候にいち早く気付いたのだった。しかし、彼らは帝国の奴隷ペニトゥス・オクラトゥスにできないことができてしまったために、サルモールの終わることのない憎悪を買ってしまったのである。

 周知の通り、ブレイズの警告は正しかったと証明された。帝国とサルモールの間で勃発した大戦は、帝国を破壊し、崩壊させかけた。皇帝タイタス・ミード2世がサルモールとの平和調停を行ったが、その代償はい未だに我々に圧し掛かっている。

 サルモールの強さや破壊主義的性質は多くの人に知られている(作者注: 私の家族もその中に入っている)。彼らは馬鹿ではない。速い段階からブレイズが敵であるとわかっていたのだ。だから大戦中、彼らを捜しまわっていた。その内、聖堂を守って倒された者達もいたし、隠れ家で1人眠っているところを襲われた者もいた。戦う者もいれば、逃げ出す者、隠れる者もいた。しかしサルモールは全員見つけ出したのだ。

 中には、サルモールから隠れているブレイズが我々の周りにまだいるという者もいる。これまで何度も何度もしてきたようにドラゴンボーンの再来を待っているのだという。彼らが守るべき者を、彼らを導いてくれる者を。


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